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物語を愛するすべてのひとたちへ-小説すばる

978-4-08-771037-3

星に願いを、そして手を。

著:青羽悠

発売日:2017.02.24
定価:1,600円(本体)+税

綺麗に並んで待っていた言葉が映像として立ち上がる。

 読むのは決まって、ミステリーかラブストーリーだった。
 趣味は読書。本好きの方には申し訳ない程度しか読めていないかもしれないが、それでも、小さい頃から暇な時は大体本を広げてきた。特にミステリーとラブストーリーが好きで、他の種類にはあまり手を出さなかった。
 この小説は、そんな私に手渡された。
 どんな話? 青春っぽいのかな。へぇ作者の青羽さんは、同い年なんだ。すごい。青春ものはあまり読んでこなかった私。この小説は未知の世界なのでわくわくした。
 本を開き、ページをめくる。綺麗に並んで待っていた言葉たちが映像となって私の目の前で活き活きと動き出した。
 始まりは何気ない会話。私自身もよくする、中高生にはおなじみのものだった。宿題が終わらず焦る、祐人と薫。そんな2人を呆れながら見ている、理奈と春樹。4人は〝星が好き〟という共通点から仲良くなり、町の小さな科学館によく通っている。4人と科学館の館長とその奥さんのテンポの良い会話。思わずクスリと笑ってしまった。私にもよくこんなことある。高校生の青羽さんが描く日常はあまりにも自然で頭の中の映像はよりリアルになっていく。
 さぁ、これからどんな青春が起こるんだ?
 期待しながら読み進めていくと、突然語り手が変わり、時が経っていること、そして館長の死と科学館の閉館が告げられる。
 物語が動くのはここから。25歳になり再び集まった4人が、館長の死と科学館の閉館という出来事から意外な事実を見つけていく。
 先に言わせていただくとこれは青春ものとは簡単には言えない小説だった。それからミステリーやラブストーリーとも言い切れない。この小説は青春の続きを書いたものだった。今の自分が好きになれずに、青春時代を思い出してはあの頃の自分と比べてしまう4人の。みんな何か足りない自分と、楽しかった青春時代を思っては後悔などを感じている。大変そうだと思った。大人になるとはそういうことなのか。青春時代に楽しい思い出を作ったら大人になってそんな喪失感を味わうのか。
 しかし、その思いは読み進めるうちに変わった。青春時代の楽しい思い出があるから大人になっても頑張ることができる、という思いに。
 4人は学生だった自分たちを思い出しながら、謎を解きみんなを幸せにしたのだ。
 そんな風に過去を大切にする大人にだったらなってみたいと、心から思った。そのためにも、今を楽しく生きなければ。そんな大切なことを教えてくれたこの小説を私はずっと大切にしたいし、作者の青羽さんに感謝をしたい。青羽さんのいちファンとして。
 それから。これからは青春ものも読んでみようかな。私はなんだかワクワクしている。

Writing

大友花恋(おおとも かれん)

'99年10月9日生まれ。群馬県出身。Seventeen専属モデル。

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